助手
「神谷! 来てくれ!」
夜中、清三郎は隊士に起こされ、跳ね起きた。
「怪我人ですか?」
「ああ、ちょっと人数が多いんだ」
「わかりました」
ぱたぱた、と清三郎の足音が遠ざかる。
まもなく、怪我人の呻き声や、清三郎が話しかける声が聞こえ出した。
時に優しく労をねぎらい、時には厳しく叱責する。
怪我人の気を静め、的確な手当てをする、その姿が目に浮かぶ。
清三郎が手当てをするときは、周りに自然と日とが集まる。
皆、清三郎の優しさに、惹かれて行くのだ。
その様子を思い浮かべた総司は、幾度となく寝返りを打って、溜め息をついた。
「神谷さん、手伝います」
「沖田先生!」
突然の声に清三郎のみならず、怪我人たちも驚く。
「何をすれば良いですか?」
「手ぬぐいを濡らして冷やしてください」
「承知」
清三郎は、包帯を巻く手を休めることなく総司に聞いた。
「沖田先生、どうなさったんですか?」
総司は、怪我人を見て痛そう〜、と言いながら、にこっ、と笑った。
「神谷さん独りじゃ大変だろうな〜と思って。お手伝いに来ました」
「ありがとうございます!」
清三郎の笑顔に、隊士たちが一斉にどよめく。
それを聞いて、総司は苦笑を漏らした。
(これだから、心配で放っておけないんですよねぇ〜)
因みに、総司の本音は
―神谷さんが怪我したときに手当てするのは、私ですから!!
なのだが、この男、自分の心に気がついているのかどうか、怪しい。
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