神谷さん、巡察、よく頑張りましたね。傷、痛いでしょう? 
 あなたは、痛くありません、っていうんでしょうけど。
 痛いにきまってますよ。

 あなたの傷が治るまで、片時も離れたくないんです。
 けど、あなたがきっとそれを許してはくれないでしょう。
 こんな思いはさっきもしましたよ、神谷さん。
 本当は、刺客に襲われた瞬間、あなたを抱えて逃げ出したかった。
 でも、あなたが真っ先に斬りかかっていった。

 あなたを傷つけた男、生きたまま捕らえるべきだったんですよね。
 でも、あなたを傷つけたということが許せなかった。
 気がついたら、あの男が地面に倒れていました。

 今では、あなたの方が立派な誠の武士ですね。
 だからと言って、近藤先生への誠が変わったわけではないんです。
 近藤先生に万が一のことがあったときに私が生きていないように。
 神谷さんに万が一のことがあったときも、私は生きていないでしょう。
 
 あれ、今、変なことを考えましたよ、私。
 
 近藤先生には土方さんがいるから、残しても平気……って。
 どうしちゃったんでしょうね、私。