近藤屋敷・7


 翌朝。
 セイは、台所で奮闘していた。
 昨日、土方に『家事を手伝って欲しい』といわれ、安請け合いした自分が憎い。
 白米を、これでもか、というほど炊き、大鍋にお味噌汁を作る。
 鮭の切り身を大量に焼き、卵焼きもボウル一杯の卵をといてつくる。
「神谷〜有り難ぇ」
 今まで、奥さんと一緒に住んでいる左之助と婚約者と一緒の山南以外、各自適当に朝食をすませていた、という彼ら。このまともな朝食に涙を流さんばかりにして喜んだ。
「おセイちゃん、後片付けはうちらでやるから、もう学校行ってええよ?」
「あ、お里さんとおまささんだぁ!」
「昨夜は思い出してもらわれへんかったけど、よかったわぁ……」
 女性三人が楽しそうに話すのを見て、近藤が言った。
「女性が一人増えただけで、家の雰囲気は変わるもんだなぁ!」
「近藤さん、ご満悦のところ申し訳ないが、中学の校長が神谷と一緒に校長室へ来い、だと」